自己肯定感が低い原因って何?今すぐできる高めるための方法もあわせて解説!

みなさんは、自分は自己肯定感が高い方だと思いますか?反対に低い方だと思いますか?もしかすると、「自己肯定感ってなに?」という人もなかにはいるかもしれません。

「自己肯定感」とは「自分を肯定すること」、つまり「ありのままの自分を認められること」です。実は、国際調査の中では、日本は世界から見ても自己肯定感が低い人が多いといわれています。

では、自己肯定感が低い原因は一体、何でしょうか。ここでは自己肯定感が低くなってしまう原因と、自己肯定感を高めるための方法を合わせて解説していきます。

自己肯定感の定義と低い原因

自己肯定感とは、樋口・松浦※1によれば「ありのままの自分を認められること」と定義されています。「自分には存在価値がある」「自分自身に満足している」というような、他人からの評価ではなく、自分が自身のことを認めて尊重出来る感覚のことを指します。

そして、自己肯定感には「自己肯定感が高い人」と「自己肯定感が低い人」に分けられます。今の自分自身に満足している気持ちが大きいほど、自己肯定感は高くなります。では、自己肯定感が低い人にはどのような原因があるのでしょうか。

自己肯定感が低くなる原因

自己肯定感が低くなる原因として、主に4つのパターンがあります。ここからは、それらのパターンについて詳しく紹介していきます。

自己肯定感が低くなる原因①自己決定が苦手で周囲に依存しがち

自己肯定感が低くなる原因として、自己決定が苦手で周囲に依存しがちというものがあります。なぜなら、自己肯定感が低い人は自分自身に自信を持つことが出来ないため、自身が下した決断にも自信と責任を持つことが苦手な傾向があるからです。

そのため、自身で決断をしたことが成功したという成功体験が少ないことが多いのです。成功体験が少ないと、結果的に自己肯定感が育ちにくくなり、また判断することも他人に依存しやすいという悪循環に陥ってしまうのです。

自己肯定感が低くなる原因②コンプレックスを抱えている

コンプレックスを抱えていることも自己肯定感が低くなる原因のひとつです。

コンプレックスを抱えていると「自分は価値の無い人間なんだ」と思い込んでしまい、そのため自己肯定感が低くなりやすいのです。コンプレックスの原因には、容姿や学歴、育った家庭環境などがあります。

「自分はだめな人間だ」という気持ちが大きくなると自分自身を否定する考え方が癖になってしまい、自己肯定感が育ちにくくなります。

自己肯定感が低くなる原因③自己信頼感が低い

自己信頼感が低い人も自己肯定感が低くなりやすくなります。

「自己信頼感」というのは、その言葉通り「自身が誰よりも自分の味方である」という感覚のことです。つまり自己信頼感が低いということは自分自身に自信が持ちにくいので自己肯定感が低い傾向にあります。

自己肯定感が低くなる原因④過去にトラウマを抱えている過去に虐待やいじめを受けた経験があることも自己肯定感が低くなる原因になります。

また、人前で失敗や恥ずかしい思いをした経験など、強く印象に残った経験もトラウマにつながることがあります。なぜなら、自分の心が深く傷ついた体験がトラウマとして記憶として残るとフラッシュバックを起こし、過去の失敗を思い出すたびに自分に自信が持てなくなるからです。

「自分は大切にされない存在なんだ」「自分はだめな人間なんだ」というような気持ちが、自己肯定感を低くしてしまうのです。

日本は自己肯定感が国際的に低い国

日本は自己肯定感が世界から見ても低い国だと言われています。

その理由は、国際調査の中で自分を肯定的に捉えている若者が、日本人は諸外国と比べて低い傾向にあるという調査結果※2が出ているからです。自分に自信を持っている若者が少ない日本の若者は、諸外国と比べて自分の意見を相手に伝えることや、初めての物事に挑戦することが苦手な割合が多いのです。

また、「自分には長所があるか」という質問に対しても、やはり諸外国と比べて「自分には長所がある」と答える人の割合が低い傾向にあります。しかし、それは日本人特有の真面目さと謙虚さの裏返しでもあるとも言えるでしょう。「真面目にやりなさい」「謙虚でいなさい」という昔からの日本の教育が自己肯定感の低さに影響しているのです。

自己肯定感を高めることにつながるPDCAサイクル

自己肯定感を高めるためには、PDCAサイクルを回すことは効果的です。

PDCAサイクルとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)のことで、田島他の調査研究※3の中でも、障がい・疾病・不登校など経験者を対象にした自尊感情・自己肯定感を高めるアプローチの一つとして効果的であることがのべられています。

PDCAサイクルを細かく回すことによって、小さな成功体験を積み重ねて自己肯定感を高めることにつながります。では、実際にどのようにすればいいのでしょうか。ここでは、PDCAサイクルについて具体的に紹介します。

PDCAサイクルのやり方①目標を設定する

Plan(計画)とは、目標を設定し、その目標をどのように達成していくのか計画する段階のことをいいます。そのためには、まず自分がどのような課題を解決していきたいのか理解することが大切です。次に、解決したい課題の情報を収集し、その情報を元に解決策を考えて計画していきます。そしてこのときに、それぞれの解決策の結果を予想しておくと効率的です。

たとえば、親が「子供が自主的に宿題をしない」という悩みがあるとします。その理由として「集中して勉強することができない」という課題があることが分かりインターネットで同じような悩みを持っている親からの情報や、本などで専門家からの情報を集めたとします。その情報の中から「子供が勉強をする環境が散らかっていたり物が多いと、目から入る情報が多く刺激になり、注意力が散漫になる」という情報を元にどのような解決策があるのか考えて計画するのが、Plan(計画)にあたります。

この場合だと、解決方法として「おもちゃや物が視界に入らないように片付ける、または布で覆って隠す」「壁側を向いて勉強をする」「ついたてを立てる」「静かな部屋で勉強する」というような目標を立てることができるでしょう。その時に、「目からの情報量が減れば集中力は続くだろう」という予想を立てておくと成功体験を積みやすくなるでしょう。

このように、ささいな課題に対してPlan(計画)を立てることで、小さな成功体験を積みやすくなり、自己肯定感を高めることにつながります。

PDCAサイクルのやり方②実行する

Do(実行)は、Plan(計画)の段階で立てた計画を実際に試してみることです。計画を試すときには、その方法が役に立ったのかどうかも記録しておくと次計画に役立ちます。そして、計画を実行する際には、少しずつ解決策を試していくことがとても重要になります。

上記に書いた課題に対して、Plan(計画)の段階でいくつかの解決策を計画しました。Do(実行)で大切なのは実際に子供が勉強する環境を徐々にかえることです。。そこで今回の例では、「おもちゃが視界に入らないように片付ける」を実行したとして、次の振り返り(Check)のフェーズに移行します。

PDCAサイクルのやり方③振り返りをする

Check(評価)とは、解決策を計画通りに実行出来ていたのかどうかを評価することです。

計画の段階で予想していた結果と比較し、解決策が効果的だったのかを評価します。

「おもちゃが視界に入らないように片付ける」を実行し、結果が「おもちゃの誘惑からは避けられたが、代わりに兄弟の話し声が気になって集中力が続かなかった」というものだったとします。そこで、計画の段階で立てた「目からの情報量が減れば集中力は続くだろう」という予想と今回の実行結果を比較して、解決策に効果があったのかどうかを評価します。

そして今回は「視覚からの情報量が減っても、聴覚からの情報量が変わらなければ集中力を維持することは難しい」という評価になりました。

ここまでが、Check(評価)の段階になります。

PDCAサイクルのやり方④新しい目標を設定する

Action(改善)とは、実行結果を評価したものを参考に、解決策の改善を行うことです。

先ほどの実行結果は「視覚からの情報量が減っても、聴覚からの情報量が変わらなければ集中力を維持することは難しい」というものでした。一番最初のPlanで計画したいくつかの解決策と照らし合わせて次の改善策を考えた時に「聴覚からの情報量が変わらなければ集中力を維持することは難しい」という評価から、「壁側を向いて解決する」や「ついたてを立てる」というような解決策はあまり効果的ではないということが分かります。そのため、次の解決策として「静かな部屋で勉強する」を実行するといったようにAction(改善)をするといった一連の流れがPDCAサイクルです。

このように、計画したものを実行・評価し改善することを繰り返すことによって、小さな成功体験を積みながら自己肯定感を高めることにつなげられると効果的です。

まとめ

今回は自己肯定感が低くなってしまう原因と、自己肯定感を高めるための手法としてのひとつである「PDCAサイクル」について解説しました。

自己肯定感を育てるために必要なことは「小さな成功体験を積み重ねること」です。例えば、「今日は寝坊しないで起きれた」「間食を我慢することが出来た」など、日常のほんの些細なことから成功体験を積んでいくことが大切です。それを続けていくうちに、自然と「自分は頑張った」「自分でも出来るんだ」という自信に繋がり、自己肯定感が高くなっていくでしょう。

自己肯定感を高めてありのままの自分を受け止めることで、「自分はこのままでいいんだ」と今よりも肩の力を抜いて日々の生活を送ることができるようになるのではないでしょうか。

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参考引用文献

※1樋口善之・松浦賢長(2002).自己肯定感の構成概念および自己肯定感尺度の作成に関する研究 母性衛星43(4): 500-504.

※2内閣府(2018).令和元年版 子ども・若者白書(全体版) 特集1 日本の若者意識の現状~国際比較からみえてくるもの~(最終閲覧日:2021年9月14日)

※3田島賢侍・奥住秀之(2014).障害・疾病・不登校などのある児・者を対象にした自尊感情・自己肯定感の文献検討 東京学芸大学紀要 総合教育科学系Ⅱ65:283-302.

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この記事を書いた人

ライター/noteではエッセイも書いています。/機能不全家族育ち・発達っ子育児についてなど